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2022年急増する賃貸管理業におけるM&A(事例と動向)
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船井総研の松井哲也です。
今日は、賃貸管理業界にて急増するM&Aの事例から、業界の再編動向をお伝えしたいと思います。
2022年例年になく、活発化しニーズが高まっている賃貸管理業界のM&A。その実際のM&A事例では、背景はどうなっていて、M&Aを実践する買い手・売り手企業はどのような戦略を描き、実践しているのか、そのヒントを見つける機会になれば幸いです。
①賃貸管理業界におけるM&A事例
【事例1】 不動産賃貸管理業 → 不動産賃貸管理業
不動産賃貸管理業を中心に営む、クラスコ(石川県金沢市)は、同業であるフロンティアホーム(埼玉県所沢市)の全株式を取得した。フロンティアホームは、不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)、不動産有効活用などを展開してきた。クラスコのFCに加盟し、取引実績があった。クラスコは、やはり不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)、その他同業種の企業に対して、リノベーションFCの展開や、企業ブランディングに注力し、デザイン経営を行ってきた。事業エリアの拡大や、シナジー効果を狙い、相互のノウハウ共有を実現する。
【事例2】 宿泊施設・飲食施設の管理運営業
→ 不動産売買仲介・不動産管理業のうち不動産管理事業
宿泊施設・飲食施設の管理運営を行う、レ・コネクション(京都市)は、不動産賃貸管理事業を営む中央建物(京都市)から、事業を譲り受ける。中央建物は、京都市内で、分譲マンション、戸建の売買仲介や、不動産賃貸管理事業を行っている。特に、レ・コネクションは、中央建物の不動産賃貸管理事業業務の買収から、業務を内製化する事で、業務の効率化を実現する。より事業の拡大、地域の活性化に寄与する。
【事例 3】 不動産管理業 → ソフトウエア開発・システム開発業
AMBITION(東京)は、不動産向けのシステム開発のPC-DOCTERS(東京)の全株式を取得した。PC-DOCTERSは、ソフトウエア開発やインフラ構築など、様々なシステム開発を行う。AMBITIONは、都内を中心に不動産賃貸管理業を中心に、不動産仲介(賃貸・売買)などを行い、店舗も19店舗で運営している。昨今、IOT、AIなどのITを駆使した不動産に関するサービス提供に力を入れている。ソフトウエア開発などを、グループ内に取り込むことで、不動産業界向けのシステム開発を開始し、販売強化する。不動産業×不動産テック企業として、業界のITインフラ向上を目指す。
②賃貸管理業界における買い手企業の特徴
賃貸管理業を営む企業にとって、さらなる商圏・シェア拡大を狙うため、同業を買収するケース
が、圧倒的に増加している。また賃貸管理業が、より生産性を出せる企業体へ成長するために、自社
の足りない事業、内製化したい業務において、関連業種企業の買収するケースも増加している。
特に賃貸管理業では、DXを推進する企業が増加しているため、ソフトウエア開発、システム開発な
どをグループ内にて内製化すべく買収を行い、DXを加速したり、そのノウハウを同業の賃貸管理業
に売り込む動向もある。
また賃貸管理業の関連業種企業が、自社の賃貸管理事業の生産性を上げ、効率化するため、また安定的なストック事業を展開する為、賃貸管理業を買収するケースも出てきている。
いずれにせよ、成熟し始めた業界事情の中で、買い手側、売り手側ともに、より成長・シナジー効果
を目指したM&A戦略が基本となる。
③賃貸管理業界における売り手企業の特徴
圧倒的に多いのは、事業承継者の問題がある。親族、従業員への承継予定者が固まらず、第
三者M&Aをすすめている。また昨今では、まだ経営者自身がより成長に向けて事業経営を進め
て行ける状態にあっても、経営者自身のセカンドキャリア(ハッピーリタイア、別事業などへの挑
戦)を考えた上での譲渡が出てきている。
賃貸管理業は、典型的なストック事業であり、安定した収益が見込めるため、親族での承継が多く見受けられたが、昨今では親族承継者が不在であり、第三者へのM&Aが増加している。
またコロナ禍をきっかけに、新規管理戸数拡大などの施策がとりにくくなり、今後の管理業務運営や、
売上向上が見込みにくくなる予想があったり、既にその状態に陥り、譲渡へ進める場合もある。
上記の中で、買い手企業は、自社よりも売上規模の大きなグループに入る事により、成長へつなぐ動きもある。売り手の経営者自身は、経営者として残る場合、また社員を継続雇用する場合などになっている。
決して、マイナスの理由での譲渡だけでなく、より成長を目指して譲渡という手段を選択する場合も増えてきている。
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□ 買い手企業による成長戦略型M&Aの方法
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□ 譲渡後、会社はどのような運営体制になるのか?
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5月27日㈮ 10:30~12:00 オンライン
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