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 【 コロナ禍での組織を考える  “社員が50名を超えたら改革する事” 】


カテゴリ:
コンサルティングコラム

船井総研でお付き合いさせて頂いている賃貸管理会社さんでは、50名を超え、地域でも一番店として推進している、または目指している会社さんの割合が増えてきました。

研究会会員さんであった実例ですが、A社とB社、別地域で、同モデルにて、同時期にご提案し、スタートした2社があります。数年が経ち、A社は社員が30名弱のまま、B社が100名を超える規模にまで成長しています。合わせて、管理戸数、各種売上も差が出ています。コンサルティング現場の肌感覚では今後、この差はどんどん広がりそうです。ちなみに社員数が30名よりも100名の会社の方がすごいとは思いません。ただ、単純にこの差がどこから出てくるのかが重要かと思います。

全国約1万社ある賃貸管理会社で、社員50名以上は約2%、100名以上になるとその約半分以下の約1%弱程度、300名以上になると、数える程度になってしまいます。

この差がでる要因は、時流、地域性、事業ドメイン、事業環境、採用方法・・・等々、様々なものが考えられるでしょうが、本質のところは、経営トップご自身の経営課題(役割、機能)の切り替え方(ギアチェンジ)ではないかと考えています。

社員数30名ぐらいまでのステージでの課題は、成果(売上、利益)に直結する事業自体そのもので、地域での管理戸数を継続的に伸ばし、シェアを上げ、連動して賃貸・管理で売上(粗利・利益)を作り、伸ばすかです。このステージではトップ自らが事業に対して陣頭指揮を取るべきで、逆に下手に現場を離れてしまうようであれば、伸びるものも伸びないでしょう。

次に社員数が50名超えあたりから100名前後になると、事業そのものはある程度、カタチ、仕組み化されつつあります。この辺りから経営課題を事業自体そのものではなく、人(社員)にフォーカスを当てて、いかに「社員が主体性を発揮して動く」組織にしていくことにテーマを移せるかが鍵になるようです。

逆に言えば、社員数が50名、100名、300名と伸びる会社は、経営トップご自身の経営課題をステージによって、上手くギアチェンジできたところだと考えています。

では、「社員が主体性を発揮して動く」組織づくりのためにどんなギアチェンジをすることが必要なのか。

こんなことをクライアント企業の社員の方からお聞きすることが多くあります。
「うちの社長は、任せる、任せると言いながら、途中で口を出してきます。それだったら最初から任せなかったらいいと思うことが多いです。どうもやる気がなくります。」

社員数が50名を超えたあたりからは、「社員が主体性を発揮して動く」組織へのギアチェンジできてないと、その組織はいつまでもトップの考えに従うだけの思考の集団になり、いつまで経っても社長がいなければ新しい工夫や事業も生まれない会社になってしまいます(それが社長のジレンマになります)。

そうならないために必要なことは、「社員(特に役職者、幹部)たちから“意思決定”が生まれるか」が大切です。この意思決定とは、トップの顔色を伺い、過度に忖度したものや、最初からトップとの結論ありきのコミュニケーション誘導から起こる表層的な意思決定ではありません。その本人が心から覚悟を持った意思決定です。そうした意思決定が生まれることを組織の文化として定着させる取り組みが必要になってきます。
そのためのポイントは以下の2つと考えます。

①トップが事業プロセスに口を挟まない(挟めない)組織機能にする。
前述の「任せる、任せる」と言いながら途中で口を挟む、無言の介入プレッシャーがかかるようなことを極力なくす組織機能にすることです。そうすることで社員の本気の意識決定が生まれる環境を作ります。手短なところでは事業部制を取り、事業収支までを管理、運用させる環境を作る。事業責任者の結果に対しての責任と権限を明確し、トップはプロセスには口を挟まない。(当人から求められて 初めて軽くアドバイスする)。
そして、結果に対しては良くても悪くても公平に厳正に評価する。

②事業を側面で支援する機能を強化する。
事業自体(プロセス)には口を挟まない代わりに、事業の成功確度が上がるための側面機能、もしくは万が一、失敗した場合でもリカバーできる側面機能を強化します。(だからこそ、トップは失敗を恐れずに、思い切って社員に意思決定をさせて、任せることができます。)

具体的には
1)社員がワクワクする10年ビジョンを描き発表し、社員を焚きつける
目先の1~3年ではなく(これは社員に任せる)、5年先、10年先の成長ビジョンを描き、社員のワクワク感を焚きつける。時流が目まぐるしく変わる中で、その時流を読み込み、会社の10年先を本気で考えうることができるのはその会社の経営トップしかいません。社長が10年先を明るく照らせば、1~3年先がもっと明るく照らされより前向きに取り組めます。「うちの社長は先の先まで本当によく勉強して考えて、見えているなぁ、ビジョンを聞いたらワクワクするなぁ、よしそれに付いていこう」と思わせることです。

2)ファイナンスの強化、最適化
1(~3)年毎の収支(決算書で言えばPL)は社員(責任者)に任せて、経営トップはBSをしっかりと改善、強化することに注力する。自己資本比率の向上、借入枠の限界突破、金利下げ、プロジェクトファイナンス体制などにも取り組む。私のコンサルティング経験の中でも、任せ上手な経営トップほどPL以上にBSを重視しているところが多いようです。

3)ガバナンスの最適化
事業自体は社員に任せますが、定期的にレビュー(経過報告)の場を設定することは必要です。ただ、レビューの場も聞く姿勢を徹底し、アドバイスは必要最低限にする必要はあります。「手を放しますが、目を離さい」場です。「任せ上手」と「放ったらかし」とは全然ちがいます。この場は経営トップご自身も任せ上手になるためのトレーニングの場でもあります。

4)人材を育てるための教育体制の強化
新卒採用、中途キャリア採用の強化は当然必要ですが、採用してからの初期研修、フォローアップ、または受け入れ側社員のスタンス、マインド育成を含めて、採用、教育、定着、成長までを一貫して対応する体制づくりです。また、経営者視点を持たせる幹部教育体制、適材適所のプロ採用の取組みも必要になります。

以上に挙げたポイントをご自身の重要課題としてギアチェンジすることが大切だと考えています。

ただ、お気づきの通り、こうしたことは一石二鳥ですぐに実現するものではありません。また取り組む段階もあります。だからこそ適切なタイミングで取組みを始めるべきだと考えています。そんなことをしなくても50名超え、100名近くになるケースもあるかと思いますが、このような取り組みを始めるのと、始めないとでは、社員の主体性が育つ企業文化度が全く変わります。社員1人1人がワクワクして、誇り、やりがいを持って働ける会社づくりには必要かつ重要なギアチェンジだと考えております。

船井総研では、11/4、11/16、12/8に、住宅不動産業界向け 「社員数50~100名以上の企業の経営者様向け」に、“社員が100名超えたらやるべき攻めの5つの変革”セミナーを開催します。紹介は、以下になります。ご興味のある方は、ぜひご参照ください。
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/065280

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