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優秀な社員をたくさん育成しなくても会社を成長させるためのDXのススメ
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いつもありがとうございます。船井総研の宮下です。
賃貸不動産ビジネスの業績アップを専門とする経営コンサルタントです。
早いもので、もう2月です。
年明け早々の緊急事態宣言から、もうすぐ1ヶ月が経ちますが、
コロナ拡大状況は収まりそうになく「長期戦」の様相です。
いずれにせよ、自分でコントロールできないことに頭を悩ませても意味がありません。
経営者・経営幹部の方が考えるべきは、マクロ時流を捉え、市場(顧客ニーズ)の動きを予測し、何を準備するか?です。
1.日本国内の大きな時流の1つである「人口減少」に対応する
2.顧客密着「ワンストップサービス」という差別化戦略
3.優秀な社員を育てることが問題解決にはつながらない
4.失敗しないDX推進のために外してはいけないこと
1.日本国内の大きな時流の1つである「人口減少」に対応する
日本国内の大きな時流の1つに「人口減少」があります。
世界人口は、40年前は40億人未満だったのが、20年前には60億人超となり、
現在は80億人に迫る勢いです。しかし、日本の人口はどんどん減っています。
「人口減少=市場規模縮小」ですから、商売的には
「昨年通りにやっていたら自然と売上減少になる」ということになります。
だからと言って、競合企業の数が減っていくわけではないですから、
競争は激しくなっていきます。
他社よりも、物件検索ポータルサイトの掲載数を増やすとか、
物件仕入れのチラシ枚数を多く撒くとか、
よい条件の求人を出して人材を獲得するとか、
そういう戦い方は自社を最も消耗させますから、できるかぎり避けたいものです。
2.顧客密着「ワンストップサービス」という差別化戦略
船井総研では「独自固有の長所」を活かした経営をしていくために、
他社と差別化できる「一点集中」の戦略を選んで注力することを提唱しています。
では、ヒトもカネも時間も限られている中小企業で、
何に的を絞って一点集中の差別化戦略を展開していくか?
私たちがずっとお伝えしているのは
【顧客密着「ワンストップサービス」戦略】であり、
【地域密着「総合」不動産会社】を目指すことです。
いわゆる、「ゆりかごから墓場まで」というやつですね。
地元商圏内の消費者を対象として、
賃貸仲介⇒売買仲介⇒リフォーム、物件投資⇒賃貸管理⇒相続対策⇒出口戦略
に関わるサービスを自社が一手に提供できるようになろうという戦略です。
ライフタイムバリューの最大化とか、
ライフステージに応じたサービスの提供とか、
表現の仕方は様々にあるかと思いますが、
あらゆる業界で目標とされ、
実行しようとされている戦略です。
しかし、言うは易し行なうは難し。
カンタンに思えるこの戦略を上手に実践できている会社はほとんどありません。
皆様の会社ではいかがでしょうか?
社員さん同士が上手に連携して顧客サポートできているでしょうか?
もし上手に連携できていないならば、
その原因は「顧客情報管理」の仕方にあります。
多くの不動産会社では、
賃貸仲介、売買仲介、工事、物件投資、賃貸管理、相続対策などを
部門ごとに分かれてサービス提供しています。
そして、各部門で「異なるシステム」をつかって業務をしています。
賃貸仲介客の管理ソフト・賃貸管理物件の掲載ソフト、
売買仲介客の管理ソフト・賃貸管理物件の掲載ソフト、
賃貸管理物件入居の管理ソフトといった感じです。
部門が分かれており、使うシステムが分かれていれば、
そこで仕事は「分断」されます。
同じ顧客がそれぞれの部門のシステムに登録されていても
システムが違いますから、交わることがありません。
「ゆりかごから墓場まで」の
顧客密着「ワンストップサービス」を提供できない要因がここにあります。
スタッフが増え、部門が分かれ、会社規模が大きくなるにつれて、
その問題は大きくなっていきます。
創業当時、2~3人でやっていたときが、一番生産性が良かった
なんて話をよく聴きます。
考えてみれば当然で、
数名の社員で、把握できる程度の顧客数を対象に商売をしているわけですから、
「脳内データベース」で一元管理された顧客情報を基に、
アイコンタクトで連携して仕事することが出来ていたわけです。
実際、社長自ら現場に立って顧客対応し
顧客ニーズに合わせて陣頭指揮をとることができる規模にある会社では、
「ゆりかごから墓場まで」のワンストップサービスを提供できていることが多いです。
しかし、そういう状況だと、「自分と同じ意識・スタンス」で顧客に対峙して
陣頭指揮を取れる2代目の方がいないと事業承継がスムーズに進まないですし、
指揮を取れる人員数にも限度がありますから、会社規模も大きくなりません。
逆に、その状態で社員数を増やしていくと社長の目が行き届かなくなり、
サービスの品質が低下していきます。そこで多くの会社では
「人事評価制度」「賃金制度」を整備して社員育成にチカラを入れていますが、
投下したコスト(時間・費用)の割には、思ったような成果が出ないことが多いです。
3.優秀な社員を育てることが問題解決にはつながらない
多くの不動産会社の課題が「属人的状況からの脱却」となっています。
同時に、属人的状況にある会社は「中小規模」から脱却できない状況になります。
その問題の解決は「優秀な社員を育てること」ではありません。
大きな会社には優秀な社員がいるから実行力があって、
だから業績が伸びているということではありません。
確かに、会社規模が大きくなれば優秀な人財の数は増えると思います。
しかし、同時にそうでない人材の数も増えます。笑
大きな会社に優秀な人財ばかりが集まるわけではありません。
AmazonとかGoogleとか、NIKEとかStarbucksとか、
なにかと注目されている海外の高成長企業も
優秀な社員の割合が多いから成長しているというわけではありません。
優秀な社員とそうでない社員の割合なんて、どこも変わらないと思います。
その成長を分けるもの。
特別に優秀ばかりではなくても、顧客のライフステージに合わせて
ワンストップサービスを提供できる仕組みを創ることができる要因。
それは「一元化された顧客データベース」の存在です。
部門ごとに分かれたシステムに登録されている顧客情報ではなく、
会社として1つの顧客データベースを持ち、
それを用いてあらゆる業務に活用していくという考え方です。
要するに、顧客密着「ワンストップサービス」戦略を実現するためには
会社としての「ワンストップ顧客データベース」が必要ということです。
そして、この「ワンストップ顧客データベース」こそが、
なにかと話題になっている「DX(※)」において最も重要な考えです。
※DX: デジタル・トランス・フォーメーション
DXとは
「成約確率の高い顧客づくり」
「業務効率化(処理速度アップ、重複回避)」を実現し、
属人的手段に頼らずに「顧客満足度」の最大化を実現し、
それによって高い報酬を獲得して「生産性アップ」を図ることを目的とするもので、
その実現にデジタルシステムを活用しようという戦略です。
そういう経営者しかできないような「重要」かつ難しいこと」を他人まかせにしたら
高い確率で失敗すると思いませんか?
事実として、失敗している会社が山ほどありますし、
「国策」としてDXを推進している経産省が、その危険性を指摘しています。
4.失敗しないDX推進のために外してはいけないこと
ですからDXは、
「社内のシステム担当者」「外注のシステム専門家」に任せるものではありません。
DXは戦略そのものですから、経営者が自分で絵を描いて推進しなくてはなりません。
彼らはシステムのプロであって、経営のプロではありません。
(お分かりいただけると思いますが、システム担当者の方、システム専門会社の方を
否定するものではありません。DX=経営者業ということです。)
経営のプロであってシステムに詳しい人財。
DXはそういう人物が推進しなくてはいけません。
やってはいけないDX、いまスグやめるべきDXとは、
「社内のシステム担当者」「外注のシステム専門家」が中心となっているDXです。
もし心当たりがありましたら、本当に今すぐ、そのDX構築をストップさせてください。
そして、経営者であるご自身が、DX推進の責任者となってください。
そうしないと、必ず失敗して、数百万・数円万の投資が無駄になります。
「そうはいっても自分はデジタル関係って苦手だから…」
という場合には、勉強しなくてはなりません。
「アナログ(リアル)を補助するのがデジタル」という時代は終わりました。
「まずデジタル(オンライン)があって、その裏・その先でアナログが活きてくる」のが、
2020年代以降の企業経営です。そして、それに乗り遅れた企業から倒産していきます。
衣・食・住って、よく使われる言葉です。
いずれも生活になくてはならない必需品ですが、
変化は「(1)衣」⇒「(2)食」⇒「(3)住」の順番で訪れます。
近年、アパレル・ファッションビジネスの企業の倒産が多くなりました。
また、コロナショックの変化の中でフードビジネスの企業が苦境に立たされています。
次は私たちの番です。住宅不動産ビジネスに「変革」の波がやってきます。
たとえ話に挙げるのは不謹慎かもしれませんが、
大きな波から逃げ遅れた場合の恐ろしさは、日本人なら誰でも知っていると思います。
「日常」を襲う大波がそこまで来ていて、それに対応できない企業は淘汰されます。
経産省が「IT補助金」を出していますが、
正しい使われ方をしているケースがほとんどありません。
既存のシステムのリニューアルとか、違うメーカーのシステムへの変更とか、
そんな使われ方をしているケースが大半となっています。
システム系の企業は儲かっているのかもしれないですが、
不動産会社の現場の社員さんの業務はちっともラクになっていません。
「効率化される」ということで導入したソフト・システムへの「多重入力」で
ちっともラクにならないのです。
この業務にはこのソフトを使って…
この業務にはこのシステムを使って…
効果測定したいからこの報告書を作成して…
という感じで、
どんどん仕事が増えていき、どんどんコストは膨らんでいき、
財務も社員もどんどん疲弊していくという状況が進んでいます。
そして、いままで使ってきたソフト・システムを無駄にせずに
活用していくにはどうすればよいか?の答えが見えてこないので、
たくさんの数・種類のITツールを同時利用せざるを得ない
という状況が続いていきます。
ですから経営者の方が、自ら絵を描いてDXを推進しなくてはなりません。
「どうしても!本当に!無理!!」という場合には、
ご自身に代わり、会社の戦略の根幹を担い
社員の生活を支える責任感のある方(経営幹部クラス)を
「DX推進責任役員」として抜擢して進めていく必要があります。
それくらい、DX構築は責任が重く、
全社的な視点があり、経験値が高く、社内変革のパワーがある方でないと
推進できないということです。
人口減少、商圏規模縮小時代の経営戦略。
それをカタチにしたのが
【顧客密着「ワンストップサービス」戦略】であり、
【地域密着「総合」不動産会社】を目指すことです。
ライフタイムバリューの最大化とか、ライフステージに応じたサービスの提供とか、
色々な言葉で表現されますが、要するに言いたいことは同じかと思います。
そのなかで最も重要なことが「一元化された顧客データベース」であり、
=顧客密着「ワンストップサービス」戦略を実現するためのツールです。
そして、その構築・活用をすることが不動産会社にとってのDXの第一歩であり、
是非ここにチャレンジしていただけたら幸いです。
前回のコラムに引き続き、
今回も不動産会社でのDX構築成功のポイントをお伝えしました。
大切なことは、DX=デジタル活用ではなく、
「DX=経営戦略を実現するためにどのようなデジタル活用をするか」ということです。
前回コラムも合わせてお読みいただけました嬉しく存じます。
(2021年2月4日、文責:宮下一哉)
宮下 一哉
1973年生まれ、神奈川県出身。 2002年に船井総研入社し、賃貸管理会社向けの コンサルティングに20年超従事している。 「マーケティング×マネジメント」視点での 総合的な差別化戦略構築により 「100億×100年企業づくり」をサポートし、 大手・中堅企業から全国各地の地域一番店の コンサルティングを担当。 「ビジョン経営」「DX」の推進などによる 社内一体化や高収益体質化を進めていく手法が 好評を得ている。