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【コロナショックの今だからこそ、“マーケットイン”で考える賃貸戦略】
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賃貸支援部 松井哲也です。
新型コロナウイルスが猛威をふるっている中、豪雨災害そして猛暑と、危険な夏を迎えています。戦後最大の不景気をむかえるともいわれています。不景気な時期を迎える時こそ、企業の戦略を練るうえでは、原点ともいえる「顧客の視点を改めて見極める」ことが最も重要です。
経済用語で、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という言葉がよく比較され使われます。「プロダクトアウト」とは、技術や製造といった商品を提供する側からの発想で、商品の開発・生産・販売といった活動を行うことです。また逆に、「マーケットイン」とは市場や顧客など、ユーザー側からの立場に立って、ユーザーが必要とするものを提供していこうとすることです。
冒頭での「顧客の視点を改めて見極める」事が、この未曽有の危機を乗り越える、最大の機会になります。では、賃貸管理業界にとっての「マーケットイン」とは何を指すのでしょうか。
2008年のリーマンショックから、賃貸管理業界では、「完全ゼロ賃貸」というモデルが全国でいきわたりました。厳しい経済事の中、日全国では賃貸住宅の空室が急増し、「低所得の単身層(実際は一般の賃貸層の大多数)が、入居者し易く、長く住みたくなる」施策でした。いわゆる入居時、更新時、退去時の曖昧な手数料を全て0するプランです。これらは、新たな賃貸入居者を集め、入居率を一気に押し上げて、そしてオーナーにも受け入れられ、管理受託も大いに進みました。
今後の経済危機の中では、空室も増えてきます。今、2020年秋、冬、そして繁忙期を向かえる前に、改めて市場、顧客の求めるニーズを考慮して、必要とされる、物件商品化を進めなければいけない時期になりました。
「2020年コロナ禍」「マーケットイン」「賃貸管理業界」を掛け合わせると、今まで取り組んでいなかった、新たな入居者層(存在するが敬遠されてきた)に挑戦する時期にきたのではないでしょうか?それが、いわゆる「ターゲット賃貸戦略」です。
最新で賃貸住宅の入居を求めるターゲットに対し、自分たちのニーズに合った物件商品化されたものは、その入居者を惹きつけます。入居者が殺到し、入居率が上がれば、オーナーはその賃貸管理会社を求めます。オーナーを顧客とすれば、時流に合わせた方法で、家賃維持・満室物件にすることが、求める商品となるのです。
「大失業時代で家賃保護を受ける入居者層」「住みやすい環境を求める高齢者層」「多人数で住む寮ではない個別環境を求める新外国人層」「都市部を避けた戸建賃貸などを好むテレワーク層」など、、まさに今の時流に合わせ、賃貸住宅を求める「ターゲット」を明確にした賃貸戦略が必要です。
ターゲットが明確であれば、物件づくりも、集客方法も、そしてオーナーへの提案も、明確にされていきます。賃貸管理業界での、「マーケットイン」とは、「ターゲット賃貸」を指すと考えられます。今一度、自社が時流に合わせて、得意とされる「ターゲットに向けた賃貸戦略」を考えてみてはいかがでしょうか。
賃貸管理会社は、オーナーに寄り過ぎではないかと感じる事があります。オーナーの考え方を中心に、商品作り・物件づくりをするのは、「プロダクトアウト」になりかねません。今こそ、オーナーはパートナーの位置づけで、ぜひ本当の顧客である「入居者」に目を向けて、「ターゲット賃貸」戦略を進めてください。そして、こんな時期だからこそ、地域の中で、圧倒的な管理戸数シェア、そして賃貸仲介シェアを上げて、その「ターゲット」では、一番店を目指してみてください。