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【不動産業界】デジタル活用で切り開く「アフターコロナ」に向けた顧客名簿活用法
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いつもありがとうございます。船井総研の宮下です。
賃貸不動産ビジネスの業績アップを専門とする経営コンサルタントです。
2021年が明けて「最初の3連休」である1/9(土)~11(祝)は、
賃貸仲介店舗にとって繁忙期の業績を占う大切な3日間でした。
皆さまの会社での来店実績は、いかがでしたでしょうか?
前年比60%の会社がある一方で、前年比180%の会社もあり、
「昨年末までにどれだけ準備ができたか?」が勝敗を分けているように思います。
コロナ禍で迎える最初の繁忙期は
勝ち組・負け組の差を大きく開くものとなる様相ですが、
同時に、少子化による人口減少に伴う「商圏規模縮小」も進んでいます。
しかしながら、競合企業の数まで比例して少なくなっていくわけではありません。
結果として、生き残りをかけた競争がますます激しくなっていくことは明白です。
そんななかで、不動産会社に活用していきたいのは、
「過去客リスト」「管理物件入居者リスト」「賃貸物件オーナーリスト」など、
これまでの商売のなかで蓄積してきた「顧客名簿」ではないでしょうか?
「リピート客」「紹介客」を増やしていくことで、
少ない客数でも以前と変わらない売上を確保している会社はあります。
それどころか、以前よりも大きな売上をあげて成長し続けている会社もあります。
誰もが考える「顧客名簿活用」からの「リピート客」「紹介客」の獲得。
そこから生まれる「安定売上」の確保。
コロナ禍のなかでは、本当に重要な施策となりますよね。
それができる会社、できない会社の違いはなんでしょうか?
もっと言うと、「できない会社」の方が多いのですが、
その原因は何だと思われますか?
別に勿体ぶるわけではありませんので、先に答えをお伝えします。
「顧客情報管理のやり方が間違っているから」です。
ほとんどの不動産会社が「顧客情報管理のやり方」を間違えています。
賃貸仲介部門でも、売買仲介部門でも、賃貸管理部門でも、管理営業部門でも、
それぞれの部門で、顧客情報管理をしっかりやっていても上手くいきません。
むしろ、それぞれの部門で、しっかりやっているからこそ上手くいきません。
不動産会社の顧客管理は「部門ごと」で行なわれることが多いです。
その要因は、「部門ごとに使っているシステムが違う」からです。
部門ごとに、ほしい情報の内容は変わります。
例えば、賃貸仲介ではエアコンの型番なんて知らなくても顧客対応できますが、
賃貸管理では、その情報を知っておくことでトラブル対応業務がスムーズになります。
さらに、建物管理になるとエアコンの設置年が重要になります。
売買仲介では必須となる「年収」「貯金額」の情報は、
賃貸仲介では必須というわけではないですし、
アセットマネジメント営業で知っておくべき「家族構成」の重要性は、
売買仲介・賃貸仲介でのそれとは全然意味が変わってきます。
部門が変われば仕事の内容が変わり、
仕事の内容が変われば管理したい情報が変わり、
管理したい情報が変われば情報管理のシステムも変わる、
というわけです。
使っているシステムが変わると、仕事の仕方も変わります。
部門ごとのコミュニケーションは「分断」されます。
うちの会社は、総合的な組織力の強みを活かすことができていない。
地域密着での歴史と実績を強みにできていない。
社員同士のヨコの連携が充分に取れていない。
そんなふうに感じられたことはありませんか?
社内からそんな声を聞いたことがありませんか?
なぜそのようになってしまうかというと、
「会社全体での情報の扱い方」という考えそのものがなかったからです。
「情報管理による戦略構築」という考えがなかったからです。
別に自社だけになかったわけではありません。
不動産業界自体になかったと言ってもよいのではないかと思います。
恥ずかしながら、かく言う私も分かっていませんでした。
以前は、「物件データベース=賃貸管理システム」だと思っていましたし、
「顧客管理=営業進捗管理」だと思っていました。
「目の前のやり方」を正しいと信じていましたし、
不動産ビジネスで使われているシステムに詳しいことを
ちょっと自慢に思っていたようにさえ思います。。
2000年ごろ、「IT革命」とか「情報革命」という言葉が流行しました。
それから20年が経ち、売買仲介、賃貸仲介、賃貸管理、建物建築など、
それぞれの会社・部門で、独自の情報管理が確立してきました。
その「独自の情報管理」を壊していくこと。
壊して「新しい情報管理のやり方に再構築」していくこと。
それがいま求められており、これからどんどん重要になってくるデジタル活用です。
さて、ここからは、
「情報管理による戦略構築」のためにやるべきことをお伝えしていきます。
ただ、その前に、とても危険に感じていることがあり、1つだけお伝えいたします。
働き方改革が浸透していくなかでの「効率化による生産性アップ」という風潮の問題です。
それぞれの部門で独自に蓄積してきた情報をRPAなどで自動連携させて、
2重入力などの手間を回避して業務効率アップを図ろうとされていたりしませんか?
これまでデジタルに「投資」してきた時間・金額をもったいなく感じて、
それを無駄にせず活かす方法を「安易に導入」しようとされていませんか?
政府からのIT補助金の使い方として、最も大きな失敗につながる方法であるだけでなく、
今後においても「大きなコスト」に繋がる「負の資産」を大きくすることになります。
うまくいっていない現状のシステムに投資して、大きな成果が上がるわけがありません。
これまでの延長線上にある、「やってはいけないデジタル活用」の最も分かりやすい例です。
別にRPAやこれまでのシステムを否定しているわけではありません。
きちんと「正しく」使えば、頼りがいがあって効果的なツールです。
しかし、効果が大きいものであるだけに間違った使い方をすると
ものすごいスピードで「負の資産」を拡大させていくのです。
効率化による生産性アップは「デジタル活用」の1つの効果ですが、
それは戦略実現のための1つのプロセスであって、目的ではありません。
効率が上がっても、次の「攻めの一手」がなければ現状維持になります。
経営において、現状維持=衰退を意味しますよね。
最も重要なことは「攻めの一手=顧客への新たな提案」によって業績を上げることです。
それを実現させることができる「新しいデジタル活用」へ進むことが重要です。
では改めて、「情報管理による戦略構築」のためにやるべきことをお伝えしていきます。
これから必要となる「戦略的情報活用」は、
これまで使ってきたシステムに基づくものであってはいけません。
現在、不動産会社で利用されているシステムは、
「コト」「モノ」「実績数値」にベースを置いています。
●コト・・・ 反響/来店/申込み、家賃滞納、トラブル進捗、工事進捗、オーナー訪問、ほか
●モノ・・・ 物件、設備、付帯商品、リフォーム商品、ほか
それに対して本来求められる情報活用のあり方は「ヒト」にベースを置くものです。
考えてみれば当たり前のことですよね。
商売=顧客ニーズX商品のマッチングなのですから、
「ヒト=顧客そのものをベースにした情報管理」を可能にするシステムがなくては
1人の顧客からリピート、紹介はもちろん、
人生のライフステージにわたるサポートなんてできるわけがありません。
不動産会社での「戦略的情報活用」のためのポイントは3つです。
言い換えれば、「最も有効で安定売上に直結する顧客名簿活用」のためのポイントです。
(1)地域密着・顧客密着の「ワンストップサ―ビス」を戦略の軸に据えること
(2)その戦略を実現する新システムでは、「ヒト」にベースを置いた情報管理を行なうこと
(3)会社全体での情報の扱い方を決める「デジタル活用推進室X経営企画室」を設けること
デジタル活用は、業務効率化を主目的とするものにしてはいけません。
「情報活用による他社との差別化」を目的とする「経営戦略」にしなくてはなりません。
ですから、デジタルツール導入をシステム会社に丸投げなんてしてはいけませんし、
デジタル関連に詳しい現場スタッフの方に一任してもいけません。
2021年より、船井総研では「中小企業さまでの正しいデジタル活用(DX)」を
全社を挙げてサポートしていく方針を掲げております。
「これまでの流れの延長」でのデジタル活用を続けていくのではなく、
人口減少、競争激化のなかでの「差別化戦略」のためのデジタル活用をどのようにするのか。
コロナ禍でのIT投資、IT補助金活用の「正しいやり方」はどのようにあるべきか?
賃貸支援部では、私がその責任者となりましたので、
今年1年を通じて継続的にお伝えしてまいります。
今後ともご期待ください。(2021年1月21日、文責:宮下一哉)
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宮下 一哉
1973年生まれ、神奈川県出身。 2002年に船井総研入社し、賃貸管理会社向けの コンサルティングに20年超従事している。 「マーケティング×マネジメント」視点での 総合的な差別化戦略構築により 「100億×100年企業づくり」をサポートし、 大手・中堅企業から全国各地の地域一番店の コンサルティングを担当。 「ビジョン経営」「DX」の推進などによる 社内一体化や高収益体質化を進めていく手法が 好評を得ている。