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【住宅塗装会社】持続的成長するための「年商の壁」突破方法
住宅塗装事業を営む皆様、日々の事業運営、誠にお疲れ様です。貴社のさらなる発展のため、「年商の壁」を突破し、持続的な成長を遂げるための重要な視点と具体的なステップについて、ご紹介させていただきます。
外装会社に立ちはだかる「年商の壁」と、その突破口
外装会社には、「年商の壁」が存在します。具体的には、3億円、5億円、10億円という節目が挙げられます。これらの壁を乗り越えるためには、それぞれの段階に応じた戦略と、社長の「覚悟」が不可欠です。
3億円の壁は、「販促投資」の覚悟で乗り越えられます。
5億円の壁は、「営業の仕組化」と、営業を「任せる」覚悟で突破します。
10億円の壁**は、「人材投資」と、育成を「任せる」覚悟が鍵となります。
つまり、年商の「壁」を境に、社長がなすべき仕事が変わるのです。
特に難しい「5億と10億の壁」と、社長の「任せる」覚悟
特に年商5億円と10億円の壁の突破は難しいとされています。その理由は、幹部社員に「任せる」という覚悟が必要となるためです。創業社長ほど「任せる」ことが苦手な方が多く、これまで強烈なリーダーシップで会社を大きくしてきた成功体験が、新しいフェーズでの委任を妨げることがあります。自分で行った方が速く、成功確度も高いと感じてしまうため、幹部社員が育つまで我慢できないケースが多いのです。
幹部社員が育たない場合の課題
幹部社員が育たないと、以下のような課題に直面します。
年商5億円を突破できない、または一時的に突破しても年商10億円に届かない。
従業員定着率が大幅に低下する。
いつまでも社長がトップ営業として疲弊し続ける。
既存店舗(事業)を任せきれないため、新規出店や新規事業などの新たな挑戦ができない。
幹部社員が育つことの恩恵
一方で、幹部社員が育つと、会社は大きく飛躍できます。
年商10億円を突破できるようになり、30億円の突破も視野に入ります。
従業員定着率が大幅に改善され、従業員内に層が生まれます。
既存事業を任せられる幹部社員がいるため、新規出店や新規事業などの新たな挑戦が可能になります。
優秀な幹部社員を育成するための3ステップ
では、具体的にどのようにして優秀な幹部社員を育成すれば良いのでしょうか。以下の3つのステップが提唱されています。
1.わかりやすい“未来の絵”を共有する
2.心理的安全性の高い社風を作る
3.幹部社員への権限を委譲する
1. わかりやすい“未来の絵”を共有する
幹部社員が安心して業務に取り組めるよう、目標売上数値、ロードマップ、未来組織図、未来出店戦略、未来事業戦略など、明確な未来のビジョンを共有することが重要です。未来を描くことで、幹部社員の安心感につながります。
そして、この「未来の絵」を共有する上で、何よりも「経営理念」が重要となります。
2. 心理的安全性の高い社風を作る
「心理的安全性」とは、他者の反応に怯えたり、羞恥心を抱いたりすることなく、自然体の自分をオープンにできる状態を指します。このような社風を作るには、個人を尊重することが非常に重要です。個を尊重することで、社員が主体的に動き、才能が開花します。
ただし、個を尊重することは「わがまま」を全て認めることとは異なります。「わがまま」にならないために、根本的な考え方や行動の原理原則を共有することが大切であり、そのためには経営理念や社員行動指針の策定が不可欠です。
3. 幹部社員への権限を委譲する
幹部社員に権限を委譲することは、年商の壁を突破するために不可欠なステップであり、これには社長の『覚悟』が必要です。
しかし、「任せる」ことは「放置」とは異なります。社長は「見る」ことが重要であり、これは「見える(ようにする)」「目を向ける」「注意してじっと見る」という3つの視点から成り立ちます。
「見える(ようにする)」:業務管理システムの導入やリアルタイム入力の徹底を通じて、業務状況を可視化します。
「目を向ける」:データに毎日目を通し、変化に気づき、違和感を感じ取ります。
「注意してじっと見る」:指示した後の実行状況や成果をしっかりと確認します。
ここでいう「優秀な幹部社員」とは、高いマインドと高いスキルを持つ人材を指します。社長は、高いマインドと高いスキルを持つ従業員を幹部候補として権限移譲を進め、自社の「高いマインドとは何か」を言語化し、全従業員がそれを目指せるようにすることが求められます。
手法論の先にある「ムーブメント」と「経営理念」の力
年商の壁を突破するための手法論をお伝えしましたが、結局のところ、10億円の壁を突破する企業は「強い組織」です。そして、「強い組織」とは「ノリが良い組織」であると言い換えられます。
人は誰しも、内発的動機と外発的動機を持っています。給料や役職といった外発的動機は「瞬発力」はありますが、「持続性」や「創造性」の領域には弱いものです。一方、仕事自体が楽しい、自己の成長を実感できるといった内発的動機は「ビジョナリーテンション」を生み出し、困難にも打ち勝つ持続性と、創造性領域に強い力を発揮します。
この内発的動機、ひいては「ノリの良い組織」に必要不可欠なのが「ムーブメント」であり、その根幹にあるのが「経営理念」です。
「経営理念」を構成する要素
経営理念は、パーパス(P)、ミッション(M)、ビジョン(V)、バリュー(V)から構成されます。
* **P(パーパス)**:上位の信念・哲学
* **M(ミッション)**:Pに基づいた行動・役割
* **V(ビジョン)**:PとMを追求した結果として目指す、実現する姿(5~10年後)
* **V(バリュー)**:PとMを噛み砕いた、日々の判断軸・行動軸
掲げるビジョンが単なる目標(定量情報中心)ではなく、**「私たちは何のために、どんな価値観で、どの道を本気で目指すのか」という感情の入った目的**(定性情報メイン)であることが重要です。
心に響く「経営理念」策定のポイント
経営理念をまとめる際には、いくつかの留意点があります。
「公私の区別を意識しない」:子供時代の「原体験」など、できるだけ「素」の自分から考えることで、周囲の人々が共感できるものになります。
「〇〇〇べき」思考ではなく、「〇〇〇たい」思考で考える:論理的思考よりも、直観的、情緒的な「やりたい」「ありたい」という思いを重視します。
「自然に出る言葉をキャッチアップして、そのまま使う」:「言霊」というように、自ら出てきた言葉には周囲を納得させる力があります。例えば、「地域を“良かった”で満たす」「未踏の領域にチャレンジする」といった言葉が、内観から生まれることがあります。
「ムーブメント」を生み出し、年商10億円の壁を突破する
心の底から思う経営理念を掲げ、それが社内で「ムーブメント」となることで、組織はさらに強固になります。
ムーブメントの構造(小さな火種が大きくなるプロセス)
0. **経営者が心の底から思う理念を掲げる**
1. **経営理念を経営者自身が体現する**
2. **初期のフォロワーが共感して立ち上がる**(幹部社員が共感して「主体的に」動く)
3. **共感が連鎖する**(幹部の姿勢を見て、次の社員がついてくる)
4. **組織文化として定着する**(「理念に沿うのが当たり前」になる文化が生まれる)
理念はあくまで「火種」であり、**幹部社員が初期フォロワーとして燃えなければ、「ムーブメント」は起きません**。このムーブメントが発生することで、年商10億円の壁を突破することが可能になるのです。
まとめ
外装会社には年商の壁が存在し、これを突破するためには**経営者の「任せる」覚悟**が不可欠です。そして、優秀な幹部社員を育成するための3ステップ(「未来の絵」の共有、心理的安全性の高い社風作り、権限委譲)を着実に実行することが重要です。
しかし、最も重要なことは、手法論を超えた**「ムーブメント」を起こすこと**です。その「ムーブメント」の源泉となるのは、社長が心の底から掲げ、自ら体現する「経営理念」です。
貴社の理念を再確認し、幹部社員と共に「ムーブメント」を起こすことで、さらなる高みを目指していただけることを心より願っております。










