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職人不足時代の取り組み
皆様こんにちは。
(株)船井総合研究所 屋根ビジネス研究会の川口です。
本日も当メールマガジンをお読みいただき誠にありがとうございます。
今回のテーマは「職人不足」に関してです。
建設業における職人の数は年々減少傾向にあり、その中でも特に屋根(瓦)職人の数の減少が顕著であることは皆様も実感されていることと存じます。
2022年9月厚生労働省発表資料の中でも、建設業における就業者数は平成9年のピーク時に685万人から、令和3年では485万人まで減少していることはが明らかとなっております。(約29%の減少)
さらに、屋根業界に着目すると例に違わず減少傾向にあることがわかります。
屋根工事業 就業者数22,829人(2004年)⇒16,458人(2019年):15年間で約28%減少
金属製屋根工事業:就業者数12,513人(2004年)⇒8,966人(2019年):15年間で約29%減少
※e-stat(政府統計ポータルサイト)よりデータ引用
また、特に瓦職人においては瓦市場の縮小ダメージを受けて職人数の減少も顕著なのかと存じます。
こうした状況の中で近い将来起こりうる課題と対策に関しておまとめいたします。
職人不足を放っておくと…
想定される課題:大手資本への経営資源の流出
屋根(瓦・板金)工事業界においては新築ももちろんですが、近年リフォーム需要が高まっています。
屋根リフォーム需要の高まりにより、
「地域の屋根工事会社が一般顧客に対して屋根リフォームの直請け工事を始める(=元請化)」
「大手リフォーム会社による屋根リフォーム(葺き替え・カバー)提案の強化」
「大手太陽光/蓄電池会社による屋根リフォームのセット提案(蓄電池と屋根のリフォームを抱き合わせで販売するか形)」
のような動きが活発化しています。こうした傾向を加味すると、超大手ハウスメーカーや有名工務店などの大手資本が屋根リフォーム市場に本格参入してくる時期もそう遠くはありません。
基本的に経営の資源となるヒト・モノ・カネ・情報は収益性の高い企業(≒大手資本)へ流出するといわれていますから、大手資本が屋根リフォーム市場に本格参入した際には、現時点ですでに不足が騒がれている、職人の取り合い状態となってしまいます。
上記は想定される最悪のケースですが、そういったケースを逃れるための施策は下記のとおりです。
上記のような最悪のケースを想定したうえでの施策は下記のとおりです。
①自社の収益性を高める
先述の通り、ヒト・モノ・カネ・情報の経営資源は収益性の高い企業に集約される傾向があります。そのため大手資本の屋根リフォーム業界参入前に、自社が地域内における確固たる地位・収益性を確立し、ヒト(職人)が集約される体制を築くことができれば未然に防ぐことができる可能性がございます。
②自社において職人育成体制を固める
すでに腕のある職人を自社で集めることが難しい場合、歴の浅い職人や未経験者を自社で育成する方法もございます。実際に業種が近しい他のリフォーム会社(水回りや塗装など)では、「トイレの取り換え工事を新卒研修に組み込んでいる」会社や「自社独自の塗装職人育成施設・プログラム」を保有している会社が見受けられます。
③技能実習生の受け入れ体制の構築
2024年以降、既存の技能実習生制度の廃止・新体制への移行が始まります。正式な確定内容は未発表ですが、技能実習生の労働環境整備(低賃金・パワハラ・長時間労働からの保護)が目的となる見込みです。新体制への移行を先読みし、受け入れ可能な体制の構築も有効な手段と考えられます。
「職人不足」という業界課題に対して、一歩先を見据えた動きを取っていくことをお勧めいたします。
もし、ご質問やご相談等ございましたらこちらのフォームよりお気軽にご相談をいただけますと幸いです。
本日も当メールマガジンをお読みいただき誠にありがとうございます。
今後とも引き続きよろしくお願い申し上げます。