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失敗しないデジタルシフトの導入に向けた現状整理のポイント


カテゴリ:
コンサルティングコラム

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いつもありがとうございます。船井総研の宮下です。
賃貸不動産ビジネスの業績アップを専門とする経営コンサルタントです。

6月も終盤となり、大都市での緊急事態宣言も解除されましたが、
全国主要都市で外食産業やイベント開催事業などに従事する皆さまは
まだまだ大変な想いをされていると存じます。
一日も早いコロナウイルスの終息を願います。

さて、今回も「賃貸管理会社でのDX推進に関するコラム」をお伝えします。

前回は、アフターコロナに向けて「絶対に変えなくてはいけないこと」と
「そのために活用するべきデジタルツール導入で失敗しないためのポイント」
についてお伝えしました。
今回は、「導入に向けた現状整理のポイント」についてご紹介させていただきます。
 

【今回お伝えしたいこと】
1.他業界と異なった、賃貸管理業界の事業領域
2.システム導入の選定基準
3.情報戦略室という、デジタルシフト・DX推進で最も重要なこと

 
1.他業界と異なった、賃貸管理業界の事業領域

システム会社様と打合せさせていただく際に、
賃貸不動産ビジネスで導入する基幹システム開発のための「要件定義」は、
複雑になりやすいと感じることが多くあります。

そもそも「要件定義」とは、
システム開発などのプロジェクトを始める前の段階で
必要な機能・実現したいシステムの要求をわかりやすくまとめていく作業
のことを指しますが、

これが上手くいかない理由を説明するには、
賃貸管理業界の事業領域について触れないといけません。

賃貸管理ビジネス業界では、複数の事業領域を展開することが多く、
「賃貸仲介」「家賃管理」「入居者管理」「建物管理」
「工事部門」「収益物件売買」「相続対策」などにわたります。

ですから、関わるお客様も様々で、それぞれが複雑に絡み、
データの整理がそもそもやりづらい環境にあるのです。

そうしたなかで、現状では
「部門ごとに部分最適されたシステム構築」が費用対効果が把握しやすく、
導入スピード・定着スピードも速い為、推し進められる傾向にあります。

しかし、今後求められている「デジタルシフト」は
「情報最大活用」を目的としたデジタル化を
数年にわたって推し勧めることが必要なため、

各部署で独立したシステムではなく、
「部署横断型で全部門で基盤となる基幹システムを設置すること」
「顧客ベースで管理できること」の2点が重要になります。

つまり、これまで活用してきたような、
「部門ごとに部分最適されたシステム」が邪魔になってしまう
ということです。

しかし、物件情報も顧客情報も、山ほどの情報が入っている現在のシステムを
いきなり廃棄するわけにもいかず、多くの賃貸不動産会社さまで、
デジタルシフトが暗礁に乗り上げている状況があります。。。

2.システム導入の選定基準

「デジタルシフト(情報最大化活用)」のための2つの重点ポイント。
(1)「部署横断型で全部門で基盤となる基幹システムを設置すること」
(2)「顧客ベースで管理できること」
についてお伝えしましたが、
その他に活用する専門システムの選定基準についても触れていきます。

顧客データベースを構築していても、その顧客データを蓄積するために
「二重入力」が発生してしまっては意味がありません。
システム導入をする際は「現場レベルでの業務効率化」も重視する必要があります。

例えば、退去が発生した際、
退去受付表を紙で受け取り、
システムを参照してオーナーへ連絡し、
諸々の確認をし、確認した項目を紙にメモ書きし、
メモ書きした内容をシステムへ入力し、
家賃関連の段取りをし、
リーシング対策用の資料を一から作成し…
最終的に工事が発生した際は、工事見積書を別途作成し、
売上管理の帳票へ入力し…
月末にはその帳票を確認して会議資料を作成する…

などといった流れになっている会社さまが少なくありません。
皆さまの会社ではいかがでしょうか? 身に覚えはありませんでしょうか?

こういう「ムダ」を無くすためには、
既存業務で活用しているシステムの活用の仕方を切り替え、
業務のでの「情報取得・入力・共有」の流れを整理しなおし、
そこに連結できる「基幹システム」を活用する必要があります。

しかし、ここで出てくるのが
「いま使っているこのシステムで慣れているから、
このシステムに合わせたシステムを導入したい」
というシステム基準発想です。
そしてこれが「大失敗の原因」となります。

再度の確認になりますが、
「部署横断型で顧客単位でデータベース化できるシステム」を導入するためには、
「いま使っている慣れたシステムを使い続けたい」という思考を捨てて、
新しい意識に変革していく必要があります。

3.情報戦略室という、デジタルシフト・DX推進で最も重要なこと

しかし、「いま使っている慣れたシステムを使い続けたい」という
思考を変革するためには、事業責任者クラス、DX実務部門担当者を束ねつつ、
「社長をトップとした情報戦略室」を設置する必要があります。

その成果は、
(1)業務効率化による一人当たり生産性アップ
(2)工事売上の最大化(プロパティマネジメントの最適化)
(3)売買売上の最大化(アセットマネジメントの適正化)
(4)会社のマネジメント効果の最大化、経営の見える化

という流れで見えてきます。
売上は1.5~1.8倍になります。

それが「情報活用最大化」という戦略の成果です。

働き方改革時代のなかでの経営戦略。
人口減少、商圏規模縮小時代に大きな成果を上げる方法。
それが「情報活用最大化」というテーマであり、
それを実現するために必要なのがデジタルシフト・DX推進です。

そしてその先には、
【顧客密着「ワンストップサービス」戦略】があり、
【地域密着「総合」不動産会社】を目指すことがあります。

ライフタイムバリューの最大化とか、
ライフステージに応じたサービスの提供とか、
多くの会社が目指している姿なのではないかと思います。

今この時期だからこそのデジタルシフト・DX推進
是非ここにチャレンジしていただけたら幸いです。

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宮下 一哉

1973年生まれ、神奈川県出身。
2002年に船井総研入社し、賃貸管理会社向けの
コンサルティングに20年超従事している。
「マーケティング×マネジメント」視点での
総合的な差別化戦略構築により
「100億×100年企業づくり」をサポートし、
大手・中堅企業から全国各地の地域一番店の
コンサルティングを担当。
「ビジョン経営」「DX」の推進などによる
社内一体化や高収益体質化を進めていく手法が
好評を得ている。
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