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賃貸不動産会社が140兆円相続マーケットをチャンスに変える方法


カテゴリ:
コンサルティングコラム

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いつもありがとうございます。船井総研の宮下です。
賃貸不動産ビジネスの業績アップを専門とする経営コンサルタントです。

前回のコラムでは、賃貸管理ビジネスでの「メガオーナー法人が巨大化」について
お伝えしました。個人でも100戸~500戸を所有するオーナーが出てきており、加えて投資会社が1000戸規模で物件を所有するようになってきています。

この流れは、賃貸不動産ビジネスが完全に不動産の枠を超え、
「金融ビジネス」に変わってきているということかと思います。
このままいくと、資金力のある会社がたくさんの賃貸物件を所有するようになり、
更には中規模小規模の賃貸不動産管理会社をM&Aして賃貸管理物件を獲得し、
巨大化していくようになるかもしれません。

そうなると、既存の賃貸管理会社・賃貸仲介会社は
「下請け産業」になってしまうのではないか?という懸念があります。

2025年までに140兆円とも言われる「相続マーケット」の波を捉えて、
今後5年で「勝ち組」に入るために押さえるべきポイントを
今回も「上手に適応されている会社さまの事例」を交えてお伝えいたします。

今回お伝えしたいこと
1.競争激化する相続マーケットへの参入争い
2.賃貸不動産会社だからできる「相続マーケット」の戦い方
3.組織としての「賃貸経営コンサルティング」をどのように行なうか?

1.競争激化する相続マーケットへの参入争い

前回のコラムでもお伝えした北海道・人口20万人エリアにあるS社さまの取り組みです。
S社さまは、売上5億円超、管理戸数3500戸超、スタッフ数50名(うちパート社員16名)の地域密着の総合不動産会社さまです。

ここ数年、S社さまでは、数億円規模の収益物件の売買仲介を年に何件も手がけています。
その大半は賃貸管理オーナーからの相続相談によるものです。

近年、不動産オーナー向けに「相続対策相談セミナー」を開催する会社が増えています。
不動産会社だけでなく、銀行、税理士、弁護士など
あらゆる業種で行なわれていて、その「ご案内」が不動産オーナーの元に届きます。
以前にお話させていただいた東京に物件を持つオーナーさんは
毎月100件近いDMが届くとおっしゃっていました。

そんな状況では、
セミナー開催しても参加者がどんどん少なくなるでしょうし、
参加されても相談には至りにくくなります。

2.賃貸不動産会社だからできる「相続マーケット」の戦い方

そんななかでも成果を出していらっしゃるS社さんの取組みは
「賃貸経営コンサルティング」です。

従来から「不動産コンサル」はありますが、
この物件をどう扱うか?という「モノベース」の対応が主で、
不動産経営自体のアドバイスができているケースは多くないように思います。

オーナーの年齢、ご家族の年齢、
ご両親、奥様/旦那様、お子様などの状況や関係性、
生活費の状況、収入の状況、
所有物件の躯体・設備の状況、
キャッシュフローの状況などを把握し、

その上で、
長期間での不動産経営で必要な工事や
かかる費用をシミュレーションしつつ、
今後の人生における「お金」のプランをどう考えているのかについて、

日常の訪問のなかでヒアリングして
一緒に「計画」を作っていくことができている会社は
あまり多くないように思いますが、いかがでしょうか?

実はこのような取組みは、
社員数が10名以下の規模の会社様のほうが
上手に対応されているケースが多いです。

社長自ら陣頭指揮をとっていらっしゃるので
相続案件の「お悩み」を見つけたら、
ご自身で漏れなく不足なく対応されています。

しかしながら、
社員数が増えて30名を超えてきたくらいから
賃貸経営の悩み・課題への対応に漏れが出てきて、
気がついたら物件が他社で売買されていたとか
大きな工事を他社が受注していたなんてことが起こり始めます。

3.組織としての「賃貸経営コンサルティング」をどのように行なうか?

このあたりの抜け漏れがないように、不動産オーナーの課題にしっかり対応できるように、
S社さまでは「プロパティマネジメント営業チーム」を設置し、
前述のような「賃貸経営コンサルティング」を行なっていらっしゃいます。

S社さまでは、プロパティマネジメント営業チームは、
賃貸仲介、売買仲介、管理営業とは「別のチーム」となっています。

オーナーさまのところにおじゃますると1時間くらいは話をするようにされており、
そのなかで雑談的なやりとりを通じてオーナーの人となり・考え方などを共有されています。
そして、そのなかかで感じた悩みや課題に向き合って、会社としてどうお手伝いできるかを考えていらっしゃいます。

S社さまの話になると必ずし質問をいただくのが、「1時間もなにを話しているのか?」です。
事実として「大半が雑談」なのですが、営業で訪問するのではなく
コンサルティングで訪問するのですから行なっているのは雑談のなかでの「現状把握」です。

不動産営業を主たる仕事にされている方は
「提案する」「売り込む」「話す」ことが仕事になっていることが少なくないように思いますが、

賃貸経営コンサルティングは「真逆」で、
モノを提案するのではなく、「理想」を思い描いた上で
不動産経営の問題、悩みを把握して「理想とのギャップ」をお伝えし、
その上でその解決法を伝えることが仕事です。

こういう話をさせていただくと、多くの経営者の方は
「当たり前じゃないか?」と思われる方が多いかもしれません。

しかし、それを「組織」としてできるかが、目の前の「相談マーケット」の波を捉えて、
多くの不動産オーナーの悩み・課題を解決し、感謝と報酬をいただけるがどうかの分岐点です。

そして、それができるのは、銀行でも、税理士でも、弁護士でもなく、売買仲介不動産会社でもなく、
賃貸不動産を強みとしている会社だけなのです。
お金の話、相続の話、売却の話はできても、
長いスパンで、経営に視点をおいて不動産の売却・購入をアドバイスでき、
しかも自社でその対応をすることができるのは、賃貸管理を業とする会社しかありません。

【S社さまの取組み】
=================================
●オーナーの個人的情報の把握
□オーナーの年齢、ご家族の年齢
□ご両親、奥様/旦那様、
□お子様などの状況や関係性
□生活費の状況、収入の状況
□相続、事業承継についてのン替え

●所有物件の情報把握
□所有物件の躯体・設備の状況
□工事、修繕の履歴
□巡回した際の状況

●不動産経営の収支の把握
□家賃収入
□各種コスト
□ローン残債
□キャッシュフローの状況

*不動産経営計画の提案
長期間での不動産経営で必要な工事や
かかる費用をシミュレーションしつつ、
今後の人生における「お金」のプランを
どう考えるべきかを計画書にして提案
=================================

もし自社で取り組まれている
賃貸経営コンサルティングやプロパティマネジメントの取り組みが、
十分な成果につながっていないとお感じならば是非ご参考いただけましたら幸いです。

(2021年4月15日、文責:宮下一哉)

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宮下 一哉

1973年生まれ、神奈川県出身。
2002年に船井総研入社し、賃貸管理会社向けの
コンサルティングに20年超従事している。
「マーケティング×マネジメント」視点での
総合的な差別化戦略構築により
「100億×100年企業づくり」をサポートし、
大手・中堅企業から全国各地の地域一番店の
コンサルティングを担当。
「ビジョン経営」「DX」の推進などによる
社内一体化や高収益体質化を進めていく手法が
好評を得ている。
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