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名だたる競合をおさえて8億の建築工事を受注できた理由
先月の高齢者・障がい者住宅 土地活用研究会で、ある北陸の会員さんが名だたる競合他社をおさえてクリニックと老人ホーム2棟の総額8億を受注した、という事例発表がありました。誰もが羨む夢のような事例でした。
事例の概略は、
・地域の医療機関にダイレクトメールを送付
・ある医療機関からの反響で建築費をおさえたいとの要望あり
・12~15億の鉄骨の見積りを木造に切り替えて8億で受注
というものです。もちろん価格だけではなく、同社の社歴や施工実績、デザイン性などのベースがあっての受注です(安いだけの建設会社なら探せばいくらでもあったはずです)。何か1つに突出していても基礎力がなければ任せられないという、施主のリアルな考えを教えてくれる事例です。
対照的ですが、こんな事例もあります。ある東海地方の住宅会社A社が老人ホーム建築の相見積りに参加しました。競合は名だたる大手ゼネコン3社ほか、地元のローコストメーカーのZ社でした。施主はとにかく坪単価にこだわる会社で、はじめからZ社との価格競争、一騎打ちが想定されました。
結果はなんと、Z社よりも3,000万円高かったA社が受注となりました。A社は福祉施設建築の知識や実績、知名度はまったくのゼロで、しかもコストダウンも苦手な会社でした。ゆえにその欠点をカバーすべく、注文住宅会社ならではデザイン性と素材にすべての力を注ぎ込んだのです。長所を徹底的に磨けば欠点も目立たなくなるようです(長所伸展法)。
どちらも受注ストーリーは異なりますが、やはり勝つべくして勝っています。前者の北陸の会社はこれまでやったことがなかった医療機関に向けに販促を企画し、自社が得意な大規模木造建築をぶつけました。医療機関の多くはハウスメーカーやゼネコンの鉄骨の見積りしかしていないだろうという仮説があったからです。
後者のA社も、施主のコストではなくデザインや素材という自社に有利な土俵に持ち込みました。もちろん他社並みにコストは絞れるだけ絞りましたが、あくまで「このプランでこの価格はお得」と思わせるプレゼンを練り込んだのです。
受注の成功パターンはいくつも存在しますが、「その提案に勝算はあるのか?」「自社の得意な形、勝ちパターンになっているか?」「施主の言っていることは真意なのか?」といった視点を常日頃から心掛けたいですね。
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