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【大改革!】労働安全衛生規則の改正で足場が一気に安全に!?

 
さて、2023年3月に労働安全衛生規則が改正されました。この法改正により足場の組立や取扱いに大きな変更点がありました。その概要は以下の3つです。
①一側足場の使用範囲の明確化(施行期日:2024年4月1日)
②足場の点検者の指名の義務化(施行期日:2023年10月1日)
③点検記録項目に足場点検者の指名を追加(施行期日:2023年10月1日)
これらはすべて義務化が決定されたものであり、すべての企業が取り組まなければならない変更点です。施行期日ははやいもので10月1日ですが、日頃お忙しくされている皆様にとってはこのような変更点の確認を先送りにしてしまい、期日ギリギリになって慌ててしまうということも考えられます。そこで、本メールでは労働安全衛生規則が改正された背景やその内容について、詳細に解説いたします。せっかくの機会ですので、すべてお目を通していただき自社に落とし込んでいただければ幸いです。

はじめに、今回労働安全衛生規則はなぜ改正されることになったのでしょうか。それは、建設工事の現場においては、今なお墜落・転落による死亡災害が多く、死亡災害の防止対策をより一層充実強化してく必要があるからです。墜落・転落災害は建設業における死亡災害のなかで最も発生割合が高く、実に全体の約4割を占めているのが現状です。また、墜落箇所別のデータによると、全体の約2割を足場からが占めており、防止策の強化が急務となっています。この危険視されている足場に関しては、手すり等がなく安全点検が十分に行われていない事例が散見されており、中でも一側足場にあってはこれまで法令上手すり等の設置義務がなく、非常に危険な状態でした。そこで、今回の労働安全衛生規則の改正により防止策の強化が図られることとなったのです。

改正の目玉!一側足場から本足場への転換が意味するものとは!?
~変更点①:一側足場の使用範囲の明確化(施行期日:2024年4月1日)~

主に比較的狭い現場で使用される一側足場は、労働安全衛生規則上、手すりの設置義務がなく、頻繁に死亡災害・死傷災害が発生する原因となっていました。そこで、今回の改正により、幅が1メートル以上の場所においては本足場を使用することが義務付けられました。つり足場を使用する際や障害物の存在や周辺状況により本足場を使用できないと判断できる際はこの限りではないとされていますが、一側足場の使用範囲が限定的かつ明確になりました。これにより、一側足場よりも安全性の高い本足場を使用しなければならない範囲が増えることになり、従来以上の安全性が担保されることになります。

徹底的な点検のために!指名者・点検者ともに責任感を!
~変更点②:足場の点検者の指名の義務化(施行期日:2023年10月1日)~

従来の労働安全衛生規則では、足場の点検を義務付けるような規則はなく、死亡災害・死傷災害の事例においては足場の点検が十分に行われていないことが多々ありました。これを踏まえ、事業者や注文者による足場の点検が確実に行われるようにするため、足場の点検者をあらかじめ決定して指名することが義務付けられました。この指名においても、きちんと点検者を選定する必要があります。すでに制定されている足場からの墜落・転落災害防止総合対策推進要綱によると、「足場の組立て等作業主任者、元方安全衛生管
理者等であって、足場の点検について、労働安全衛生法第19条の2に基づく足場の組立て等作業主任者としての能力向上教育を受講している等十分な知識・経験を有する者を指名すること。」と定められており、指名する側も責任を持って点検者を決定する必要があります。足場の点検は指名された点検者が行わなければならないため、形だけの簡易的な点検の抑制につながります。万が一、点検に不備があった場合や災害が発生してしまった場合には、点検者が責任を問われかねないため、これまで以上に入念な点検が行われることが期待されています。

安全点検へのテコ入れ第2弾!なぜ指名欄を追加するの?
~変更点③:点検記録項目に足場点検者の指名を追加(施行期日:2023年10月1日)~

事業者や注文者が悪天候もしくは地震、足場の組立てや変更等の後の点検を行った場合、点検内容として記録および保存する項目に、点検者の指名を追加することも決定されました。これも、変更点②の「足場の点検者の指名の義務化」と同様に、点検者の責任を増大させることで、点検の実施率を向上させ、安全性を担保するというものです。

今回のコラムでは、2023年3月に改正され、10月以降随時施行期日を迎える労働安全衛生規則についてご紹介しました。減少傾向にあるとはいえなかなか絶えない、建設業界における死亡災害・死傷災害の阻止に向けて、私は今回の改正は大きな意味を持つと考えています。
お客様の幸せや企業の成長もすべて、職人や施工者の健康と安全があってこそ成り立つものだと思います。今回の改正に伴い、マニュアルや管理体制など様々な工程において変更があるかと存じますが、「危険だ」という固定観念が色濃く残る業界のイメージを払しょくし、新たな人材を確保するためのチャンスと捉えることもできます。この改正を業界全体で着手し、安全性の担保を本気で進めてまいりましょう。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
今回の安全衛生規則の改正を含めた足場工事/足場レンタルビジネスの時流動向、そうした時流の変化がビジネスに与える影響など、次回のコラムでお伝えしてまいりたいと思います。
このメールの内容が少しでも御社の改正への対応のお役立ちとなり、職人の安全、御社・建設業界全体の成長、ひいてはその先のお客様の幸せに寄与できれば幸いでございます。
引き続き何卒宜しくお願い申し上げます。

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