- TOP >
- コンサルティングコラム >
- 40万人分の住まいが足りない - 建設会社がやり残したインフラ事業とは
40万人分の住まいが足りない - 建設会社がやり残したインフラ事業とは
8年後の2030年は医療難民が40万人に達すると言われていることを、皆さまはご存じでしょうか?医療難民とは、「十分な療養環境が整わないことが理由で自宅や介護施設に暮らせない人々」のことで、なんと2060年まで増加し続けることが予測されています。
医療難民が増える原因は主に2つです。
1つは高齢者人口の増加、そしてもう1つは「病院削減」です。高齢者が増え、入院が必要な人が増えるにも関わらず、病院が減りゆくことに矛盾をお感じになる方もいるかもしれませんが、国は、「そもそも入院するほどでもない人が大勢いる」と解釈しています。つまり、手術や治療を終えた人にはなるべく早く退院してもらい、病床を減らすことで、国が病院に振り分ける医療保険費用を少しでも減らそうという思惑がはたらいているのです。
この施策は、医療財政の使い方にメリハリをつけ、後世の人々にも持続的に社会保障制度を提供するという観点では、大変素晴らしいものだと思います。しかし、半ば強制的に退院をしなければならない人々のお住まいが確保されていない現実は、今すぐ変えなくてはなりません。「自宅には戻れたけど家族が看病で鬱になってしまった」「仕事を辞めてしまった(介護離職)」「命を絶ってしまった」といった事態を知りながら、課題解決を先送りにし、医療費削減効果だけにフォーカスしてしまっていいのでしょうか?
日本のより良い未来に向けた変革の起点となるのは、ここまで読み続けていただいている建設会社の皆さまだと思います。決して大げさな話ではなく、建設会社が主導し、まだ着手していない社会インフラを整備する意義は計り知れません。
例えば建設会社の皆さまが、40万人の受け皿となる「医療ケア付き賃貸住宅」を建設することは極めて意義の高いことです。しかしさらに一歩進み、自社で運営機能を持つことも想像していただきたいのです。自社でゼロから立ち上げることも可能ですし、既存の会社をグループ会社として迎え入れより大きな事業にしていくことも、多角化経営や地方創生が当たり前の時代に得られた選択肢です。いきなり運営はせずとも、まずは建設投資のみで運営は他社へ委託し、資産形成をしながら運営も勉強していく、という考えもあります。
医療ケア付き賃貸住宅は、単なる社会貢献ではなく、「しっかり貢献して、きっちり儲ける」がコンセプトです。想像をはるかに超えた収益性がベースにあるからこそ、医療難民やその家族を救うだけでなく、働くスタッフにも高い給与水準で還元することができます。9Kとも言われる医療職のネガティブなイメージも払拭され、医療を志す人も増えるかもしれません。こうした循環が生まれ、さらに多くの「より良い」が拡散していってほしいというのが本日のメッセージです。
本日のお話をセミナーという形で企画させていただきました。皆様とのご縁を心よりお待ち申し上げております。
https://www.funaisoken.co.jp/seminar/088397