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『介護が必要でも地域で助け合い?!』
いつもコラムをお読みくださり、ありがとうございます。
船井総合研究所の川崎です。
次回の介護保険制度の改正に向けて、
厚生労働省の社会保障審議会の議論が熱くなっている
ニュースが11月下旬ごろにありました。
そのニュースを要約すると
◆介護保険制度の持続が難しく、給付費を抑えたい
◆要介護1・2は軽度者と定義したい
◆軽度者は総合事業へ移行させたい
◆特に通所・訪問についてを総合事業へ移行させたい
◆地域包括ケアということで、地域互助の仕組みへ
上記5点になるかと思います。
この国の考え方に対して、自治体や介護業界は
真っ向から対立し、反対意見が続出しています。
現状を鑑みると、2021年の制度改正のタイミングでの
総合事業への移行の可能性は低いと思われますが
どっちに転ぶのかは、結論が出ないとわかりません。
介護を受けたい、要介護者やそのサービス提供を
行う介護会社の考えと、
財務省や現役の保険料納付世代の制度維持のための
財源確保を考慮した経済界の考えと
バランスを取り、折衷案に持ち込むのは至難の業です。
現状の介護保険制度を2000年の頃から
比較と振り返り、今と将来を考えたいと思います。
2000年と現状の比較
介護保険制度が始まり18年が経ち、
65歳以上の高齢者の数は1.6倍になりました。
2,165万人→3,492万人(1.6倍)
その内、介護を受ける要介護(要支援)認定者数は
218万人→644万人(3.0倍)にも増加
人口が減少している中で、特に介護を受ける割合が高い
75歳以上の高齢者(後期高齢者)の占める割合が増加
65歳以上の高齢者数は2042年にピークを迎える
と予測されています(3,935万人)。
75歳以上の高齢者数の割合が2055年に25%を超える予測。
このような状況のため、介護に関わる費用は右肩上がりに
増加し続けています。
2000年:3.6兆円
2019年:11.7兆円 (3.2倍)
そのため、高齢者の保険料負担も
2000年:2,911円
2019年:5,869円 (2.0倍)
になっています。
総合事業化に伴う弊害
2015年の改正では、総合事業に移行された
事業に関しては、市町村の判断になるため
要支援切りというものが発生しました。
過去の経緯があるために、今回の要介護1・2
が軽度である=総合事業へ
というロジックでは、完全に要介護切りが
発生するのではないかと考えられます。
財源がある自治体とそうでない自治体との
受けられるサービス差がでてきます。
介護会社にとっても、保険が変わってくるため
自費サービスに切り替えたところも出ました。
総合事業化の背景
今回の社会保障審議会での論点として、通所と訪問の
総合事業化になっている理由として
介護サービスの中でも特に通所と訪問に関しての
費用額が高いためです。
通所介護:1,223,202百万円
訪問介護:898,495百万円
(比較のために・・・訪問看護:238,248百万円)
この2サービスが圧倒的に高いことがわかるかと思います。
これらのことを踏まえると
人口が減少していく中で、保険制度を維持するために
特に費用が使われている通所・訪問の総合事業化という
財務省や経済界の考えは単純でありわかりやすくもあります。
ただ、介護業界の言う通り、時期尚早であると私は思います。
ただ、早くしないと保険制度が持続できないという
難しいバランス感かと思います。
2021年の改正では延期になりそうということですが
現状の保険制度では維持はできないため、今後、
総合事業化は将来的に必ず起こることかと
思いますので、今からの介護事業拡大や
別事業への参入を検討されてはいかがでしょうか。
これから介護はより厳しい時代になりますね。
障がい者事業へ事業を横展開することをお勧めいたします。
船井総研 川崎
質問・相談は下記、携帯電話まで
090-6652-0591