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デジタル活用による高生産性の工事部づくりの秘訣

さくらホームグループ 株式会社 AXSデザイン 多江義教 氏 多江義教 氏

さくらホームグループ 株式会社 AXSデザイン 多江義教 氏 多江義教 氏

さくらホームグループ
株式会社 AXSデザイン 多江義教 氏

工事管理にITを導入しそれを加速してきた軌跡

ビルディノート導入までの経緯

● AXSデザイン社設立からIT導入までの道のり
当時、さくらホームの賃貸管理事業では“空室率”の課題を抱えており、もっと利回りの良い商品を地主さんに提供できないかという点から色々な建築会社に、何とか建築コストを下げて利回りの良い商品を作れないかと働きかけていた。しかし、現実はなかなか厳しかった。
また、市場では仲介物件が少なくなってきていたこともあり、

“ないのであれば自分たちで作ってしまえばいい”

という発想から会社の工事部を切り離し、現在の前身である「有限会社 AXSデザイン」が設立された。
しかし設立したばかりのAXSデザイン社には
建築経験はない…。販売力もそこまで高くない…。デザイン力もない…。
といった状況から、売らなくても売れる経営(システム)が必要だと強く感じるようになる。
また、低価格で高品質な商品作りにおいて、IT技術を使い効率と品質を高めることが有効であると考えから、サイボウズを用いて工事管理をスタートさせた。

グループ会社でサイボウズを使用していたこともあり、グループウエア―を工事管理に利用できるイメージは付いていたものの、周りからは「職人さんにパソコン(IT)を使って仕事なんてしてもらえないだろう…」といったような心配の声が多数あった。しかし、そこは建築経験がなかったことが功を奏して、初めから職人さんに対する固定概念がなかったため、やれないことはないと踏み切ることができた。
サイボウズを用いて工事管理を始めた当初は、協力業者からの抵抗の声は多数あったが、使い慣れた今となっては、「これがないと仕事ができない」という声に変化していったという。

● 更なるIT化とビルディノートの今後の展望

AXSデザイン社が更なるIT化を進めるきっかけとなったのが、火消社員の存在である。
火消社員とは、炎や煙が上がらないと動けない社員(つまり、段取りができない社員)のことである。
そんな火消社員が現場が複数になり業務が複雑になると、予定が組めず、関係者全員に多大な迷惑をかけていた。
ここでの火消社員に対して、AXSデザイン社は、
① 辞めさせる
② 職種を変更する
③ 「この社員でも」できる環境を作る
という選択に迫られ、苦悩する。しかし、社員の幸せを考えた末、③を選択しIT化で解決を図る決断をした。
具体的にはやるべき業務を自動的にスケジューリングし、かつ問題を自動で検知できる仕組みの導入である。そして、現場に行かなくてもできる業務を本部の業務課(課を新設)に移行。また、業務の見える化、適切な分業制を実施していった。

IT化を進めるということは、これまでの属人化を排除し、平準化を進めることと同義である。
IT化は同時に、業者は勿論、社内で属人的に業務を行ってた社員にとっても、これまでの仕事の仕方を否定されたり、ブラックボックス(上手くさぼってきた部分)を開けられることへの恐怖であったり、管理・監視されてることに対して必ず抵抗が生まれる。それは結果的に何人かのベテラン社員を退社させることとなるかもしれないが、代わりに新卒の女性監督などが即戦力になったり、労働時間の改善されたりする。

そして、IT化していく中で、更なる効率化を進めるためには、専用システムではないサイボウズに限界を感じ、独自システムの開発に着手し始めた。
そうして完成したのが“ビルディノート“というシステムである。

AXSデザイン社のシステム開発思想としては、現場が自動的に回る体制を構築したいというところに起因するため、ビルディノートは「施工現場管理システム」というよりも「経営管理システム」という発想で作られた。

ビルディノートの開発によって、
〇 若手主体でもルールに基づいて業務が流れていくため、現場がミスなく回る状態の維持を実現
〇 全ての業務オペレーションを標準化×ICT化で時短と高収益を実現

上記の実現が可能になる。
実際にAXSデザイン社では、ビルディノートの活用により下記の実績を上げることに成功した。

高生産性・工事部づくりのポイント

● 住宅業界における採用事情と施工現場の現状
AXSデザイン社のように高生産性・工事部を実現するためのポイントをご紹介する前に、なぜいま生産性を上げることが重要になってくるのかについて、世の中の住宅業界における現場の状況も併せて見ていく。

これは、厚生労働省が出している業種別の求人倍率であるが、建築技術者の倍率は、約5倍~7倍と非常に採用が厳しいのが現状である。対して、一般の事務は0.42倍と比較的採用しやすいことが分かる。つまり、これまで以上に、工務・設計の仕組化・システム化で工事生産力を付けていく時代になっていくということである。

また、施工現場の現状は、「情報共有が複雑化」、「参画業者の多様化」、「業務量の増加」などの問題によって、現場監督はどんな動きをしてよいのか分からなくなり、エラーが増えて仕事がさらに増えるといった事態が頻繁に起きている。まさに前述した火消社員のようになってしまうのである。
AXSデザイン社ではそういった問題に対して、「業務標準化」、「可視化・連携」、「分業体制」をすることで業務効率化を図り、コミュニケーションをストレスなく行うことによってスピードの加速をしていった。

● 高生産性・工事部の基本的な考え方と成功のポイント
最後に、上記で述べてきたことをもとにAXSデザイン社の高生産性・工事部の基本的な考え方と成功のポイントについてご紹介していく。
〇 業務フローの確立(業務標準化
これまで不明確になっていた「工程開始から着工」「着工から上棟」「上棟から引き渡し」までの各工程を洗い出し、整理していく。社内・社外業務含め、細分化していくのがポイントである。また、業務のフローの平準化を行っていく際、システムを使用し、細分化した業務を棚卸(※システムへ入力する項目まであるレベル)していく。 

〇 適切な分業制(プロでなくてもできる仕事は他者に)
採用事情のところで述べたように、建築技術者の採用は現状非常に困難を極めている。逆に一般事務は比較的採用しやすいのが現状である。業務の分業体制を作るにあたって、一般事務を業務課として雇用し、現場監督でなくてもできる業務を業務課に担当させるのがポイントである。
〈業務課担当の業務例〉

システムを活用して、業務を可視化・自動化
システムを活用することで、業務期限を誰かが指摘せずともオートマティックにRPAが指摘することができる。そうすることで工期が遅れている箇所・理由を抽出し、標準工期との乖離率を把握することが可能になる。ここにおけるポイントは、RPAで通知される未完了タスクを毎日0にしていくことである。
〈RPAによる未完了タスクアラート〉

社名 株式会社 AXSデザイン
担当者名 多江義教
役職 取締役部長
設立 平成17年11月1日
売上 グループ売上 130億円
社員数 61名
事業内容 一般住宅(新築・リフォーム)
賃貸住宅(新築・リフォーム)
商業施設(新築・リフォーム)
土地活用コンサルティング
本社所在地 石川県金沢市藤江北1丁目380番地

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