M&A

空き家問題が解決されないのはなぜか?


空き家になったら既に手遅れ?!価値0円になる前に


川崎 将太郎

おはようございます。
船井総合研究所の川崎です。

先日、空き家所有者・空き家予備軍者に向けた講演の依頼をいただき
50名程の方々に空き家の活用方法をお伝えしてきました。

普段は不動産・住宅・工務店の会社へ
ビジネスとしての空き家活用をお話する機会はありますが
所有者に向けた講演はこれまであまりなかったので
その講演を終えて今回のコラムにしたいと思います。

高く売却するなら早い方が断然良い!

参加いただいた年齢層は、30代~50代の方々。

あるアンケートでは、実家が空き家になった場合、
「売却する」が約50%と回答し、圧倒的に多い割合となっています。

ただ、空き家バンクなど空き家を売却仲介するサイトでの
成約になっている物件を見てみると、比較的新しい物件の成約率が
高くなっています。

つまり、今30代40代の方が実家を相続受ける時には
築年数も30年や40年と経ち、市場価値としてはだいぶ求められていない
物件になってしまっていることは否めません。

講演の中で、参加者から事前にいただいたケーススタディとして
これから実家になる、空き家予備軍や既に空き家になっている物件の
活用方法について相談もありましたが、
正直、手入れがされていない空き家は、むしろ売却ではなく
解体をして更地にする、無償譲渡などの選択肢になってきます。

ただ、所有者としては建物や土地の固定資産の
価値として売却できるのではないか?賃貸として活用できるのではないか?
と考えてしまいがちです。

売り手発想としては、高く売りたいですが
買い手発想としては、購入後の改修など費用はかけたくない
となり、売れない期間が続き、結果的に放置空き家となります。

そのためにも、誰しもが実家相続による空き家予備軍の相続人
となる可能性がありますので、家族が元気なうちに、
みんなが仲が良いうちに、”争続”にならないよう準備しておくことが
空き家問題解決の一番の近道かもしれません。

空き家予備軍の時にできることはなにか?

まだ相続が発生する前に、実家をどうするのか?
という話を切り出すのはとても難しいと思います。

まだまだ元気なのに売却するのか賃貸するのか考えることも
正直イメージが湧かないかと思います。

制度として名前から難しいですが
「リバースモーゲージ」や「ハウスリースバック」という制度を
活用することで、空き家となる前に
所有権を移転させてしまう方法で、そのまま家には住み続けることができます。

空き家となる前であれば、空き家となった後よりも高値になることが
想定されますし、誰も住む予定のない遠方の実家を相続するよりも
断然、気が楽になります。

空き家となるのは、結局所有者の気持ちの問題が大きいです。
何も困っていないから何もしない。
家族と話をするのが面倒・・・

その気持ちも十分わかりますが
後からでは、良いことは何もありません。
所有者の気持ちから変革しなければ、空き家問題は解決することは難しいでしょう。